2018.08.25

私が保有する資格でもある中小企業診断士についてのコラムです。「中小企業診断士って名前は聞いたことがあるけど、よくわからない」「中小企業診断士って、食べていけるの?」という疑問をお持ちの方は、是非お読みいただければと思います。

こんにちは、中小企業診断士の皆川です(笑)。


■中小企業診断士という資格

中小企業診断士は経済産業大臣により登録される国家資格です。「中小企業の経営課題に対応するための診断・助言」を行う専門家として、国に認定されたコンサルタント資格という位置づけです。人気資格の1つであり、2016年の日本経済新聞社の調査では、ビジネスパーソンを対象とした「新たに取得したい資格」として中小企業診断士が1位になりました。

中小企業診断士になるためには、年1回実施される7科目からなる1次試験の合格の後、2次試験合格と実務補修を修了、または、認定機関による養成課程を修了する必要があります。合格までの平均勉強時間は1000時間とも言われています。

経営コンサルタントという仕事は資格が必要なわけではありません。しかし、実際に診断・助言を行うには相応の「知識」が必要であり、国が中小企業診断士試験という制度を用いて、中小企業診断士が一定の「知識」を要していることを認定しています。このコラムでは試験自体については記載しませんが、検索すれば試験や勉強法に関する記事はたくさん出てきますので、興味があれば是非ググってみてください(^^)

さて、中小企業診断士も税理士や弁護士と同様、士業として独立している先生方が多くいらっしゃいます。もちろん、私もその1人です(*^^*)

ただ、税理士や弁護士と違い、中小企業診断士には法的に保護された独占業務というものがありません。例えば、刑事事件の弁護人になれるのは、弁護士だけです。弁護人を弁護士以外に依頼することはできません。まさに独占業務です。ところが、中小企業診断士には独占業務がありませんので、中小企業診断士が独立する場合は、○○士法人という法人格は作れず、個人事業主か会社法上のいわゆる会社を設立することになります。ムーブエフコンサルティング合同会社も会社法上の持分会社です。

話は少々脱線しますが、「合同会社ってなんですか?」とか「合同会社って、誰かと合同で作ったんですか?」とよく聞かれることがあります。合同会社は2006年に施行された会社法で新たに設けた会社形態です。会社の種類は、株式会社、合同会社の他に、合名会社や合資会社といった形態があります。会社の種類の違いについては、また別の機会に記載しようと思いますので、今回はあくまで中小企業診断士についてということでご理解ください(^^;)


■独立開業して生き残るためには「価値」が必要

独占業務がない中小企業診断士は独立して食べていけるのか? という話題を耳にします。
私も企業に勤務していた時は、毎月決まった収入が得られるので、食べていけるのか?という不安は正直ありませんでした。しかし、独立した今では、食べていけるのか?と問いかけられた場合に、返答に困ってしまいます。なぜなら、食べていける人もいれば、そうでない人もいる、というのが答えだからです。これは、何も中小企業診断士に限った話ではなく、独立起業されたすべての方に言えると思います。

では、少しデータを見てみましょう。ここでは分かりやすく、中小企業診断士と、同じく中小企業にとっての相談相手でもある税理士とのデータを比較してみます(税理士を揶揄しているわけではありませんので、その点はご理解ください)。

●開業中小企業診断士と開業税理士の数

まずは、開業中小企業診断士の数を見てみます。経済産業省によれば、平成29年度4月1日現在約26,000人の中小企業診断士が登録されているということです(出所)。また、平成27年11月の独立行政法人中小企業基盤整備機構による調査によれば、プロのコンサルタント経営者の割合は43.6%ということでした(出所)。単純計算をすると、開業中小企業診断士は約11,000人くらいということになります。

次に、開業税理士の数です。平成26年4月に日本税理士会連合会が調査した第6回税理士実態調査報告書によれば、開業税理士は59,250人ということでした。

開業税理士は開業中小企業診断士の5倍以上いることになりますねぇ。もちろん、税理士の方が事業者にとって業務特性上の需要が多いということは、言うまでもありません。

では、事業者の数はどうでしょうか。平成26年経済センサスによると、1次産業を除く中小企業数(会社数+個人事業者数)は、約380万あります(出所)。380万社を開業中小企業診断士と開業税理士のTAM (Total Addressable Market) とし、開業中小企業診断士と開業税理士の数で割ると、次のような仮説になります。ちなみにTAMとは、実現可能な最大の市場規模で、市場における製品またはサービスの総需要を示すマーケティングの考え方です。

・1人の開業中小企業診断士が顧問契約可能な最大中小企業数:345社
・1人の開業税理士が顧問契約可能な最大中小企業数:64社

あくまで理論上の単純な計算ですが、ポジティブに考えると、開業中小企業診断士の方が獲得できる市場がまだ多いということも言えます。

●開業中小企業診断士と開業税理士の収入

次に、赤裸々な収入のデータです(^^;) 次の表をご覧ください。

開業中小企業診断士の収入状況

開業税理士の収入状況


表のデータを見ると、仮に500万円以上を食べていける収入とすると、開業中小企業診断士と開業税理士の割合は以下のとおりです。

  • 500万円以上収入がある開業中小企業診断士の割合:72.8%
  • 500万円以上収入がある開業税理士の割合:49.4%

両データは出所元もサンプル数も違いますので、どこまで正確な比較になるかは分かりませんが、なんと開業中小企業診断士の方が食べていけてる割合が高いという結果でした。

でも、1億円超稼ぐ税理士先生がいらっしゃるのですね(・・;)
さすがに、中小企業診断士では聞いたことがありません…。

データではこのような結果でしたが、中小企業診断士でも税理士でも、結局のところ独立開業して生き残るためには「価値」が必要です。「価値」が高ければ、クライアント様から選ばれ、食べていける以上の収入を得ることができます。もちろん、士業に限った話ではなく、事業者すべてに言えることです。

例えば、1個150円の普通のリンゴがある一方で、1個400円の高級リンゴもあります。内容量は同じでも、甘さ・見た目・ブランド品であることなど、高級リンゴは普通リンゴと比べて、250円分多く払ってもよいと思わせる「価値」を持っています。仮に2つのリンゴの生産原価が同じだとした場合、普通のリンゴが高級リンゴと同じ利益を得る為には、より多くの数を売らないといけないことになります。

■中小企業診断士の「価値」とは

では「価値」とは何でしょうか? 「価値」の定義です。

1947年に米国GE社が提唱したバリュー・エンジニアリング(Value Engineering)では、「価値」の定義を次の式で表しています。

V = F / C

※ Vは「価値」、Fは「機能」、Cは「コスト」

上記の式に照らしてみると、「価値(V)」を上げるパターンは、次の4パターンあります。

(1)Fはそのままで、Cを下げる
(2)Cはそのままで、Fを上げる
(3)Cを下げて、Fを上げる
(4)Cを上げるが、Fをそれ以上に上げる

中小企業診断士は、どのパターンを目指すべきでしょうか?
色々な意見があるとは思いますが、私は (4) だと思っています。

「コスト(C)」が高くても、「機能(F)」が相対的により高ければ、「価値(V)」は高くなります。クライアント様にとって、「コスト(C)」が高くても、より「価値(V)」が高ければ、その中小企業診断士にお願いしたいという気持ちになるはずです。

では、中小企業診断士の「機能(F)」とは何でしょうか?
私は第一に「知識」であると考えています。「知識」を売り物にするのがコンサルタントであり、クライアント様がまだ知らない方法やノウハウを提供することが本質だと思っています。
つまり、「知識」の幅や深さが「機能(F)」を上げ、さらに高い「価値(V)」につなげられることになります。

そういった意味で、中小企業診断士は国が認めた「知識」を持つコンサルタントなのです。また、独占業務に縛られていない分、「価値(V)」を高めやすいのかもしれません。

ちなみに、弊社ムーブエフコンサルティングでは中小企業診断士としての「中小企業の経営課題に対応するための診断・助言」はもちろんのこと、デジタル・マーケティング導入支援や経営情報システム化支援など、IT領域の専門性をもって「価値(V)」を高めています。


貴社の「価値(V)」は、(1)~(4)のどのパターンで高めたいですか? 是非、中小企業診断士にご相談ください。

中小企業診断士 皆川 真人

 

独立を目指す方必見!中小企業診断士という資格に迫る